1/10「盆栽」

『独学大全』を読み終えて、つぎに手に取ったのは、アレハンドロ・サンブラ『盆栽/木々の私生活』だった。この小説を知ったのは、フヅクエのホームページで紹介されていたからで、さいきん自分自身が絵で木をよく見て描いて木々の私生活をしているので惹かれた。静謐な印象の題名のとおり、ラテンアメリカ文学の騒々しい読み味はほとんどなく、作者がプルーストを好きらしく実際に『失われた時を求めて』の引用も出てくるくらい記憶をめぐる物語ですごくプルーストっぽい。〈メタフィクション的かつ斬新な語り〉とあらすじにはあるが、そういう実験的な部分をやりたくてやってるというよりは、この作家は小説そのものが大好きでそれを物語に嵌め込むと勝手にこうなってしまうんじゃないかと思った。それくらいこの二つの作品は明らかに読書好きという作家性がよく出ている。たぶんだけど、現実の人間よりも、本の中の登場人物に興味がある、というか、その本の世界の流れる時間・人生をコントロールして自分の手の中で書きたいと考えている、そんな印象を受けた。

『盆栽』は映画化されカンヌ映画祭に出品されたらしいが、たしかに場面をけっこう細かくカットして書いてるので映像向きかもしれない、なんとなく映画の『小説家を見つけたら』が思い返された。あの映画は好きだった。なんにせよ、良質な作品で、静かな作品を読みたくてだけど構造は凝ったもの、そんな外国文学を読みたい時にオススメってタイプではないか。

    フヅクエの日記でタリーズコーヒーで読んだと書いてあったのが思い出されて、歯医者に行ったあとにすぐ近くにあったタリーズでこの小説を読みきったのだが、よくよく考えたら『読書の日記本づくり/スープとパン/重力の虹』も、ここのタリーズで読んだっけという記憶が思い出された。何から何までフヅクエだった。場所はタリーズだったけれども。

 

    そのあとは免許の更新で鮫洲試験場に行った。海や川の写真が撮りたかったから、それならここが一番良さそうだった。この間は豊洲の絵を描いたが、天王洲アイルも好きなスポットでたまに行きたくなる。新しい免許を受け取り、八潮橋から京浜運河を眺めて写真を撮ってから天王洲アイルに行った。ささっと写真を撮って電車乗って、最後にデパ地下で妻の好物と思われるお惣菜をたくさん買って家に帰ってる今。